大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 平成4年(行ツ)101号 判決 1992年9月22日

千葉県茂原市新小轡八二六番地の一三

上告人

鈴木荘六

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 麻生渡

右当事者間の東京高等裁判所平成三年(行ケ)第二五五号審決取消請求事件について、同裁判所が平成四年二月二五日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

原審の適法に確定した事実関係の下において、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 貞家克己 裁判官 坂上壽夫 裁判官 園部逸夫 裁判官 佐藤庄市郎 裁判官 可部恒雄)

(平成四年(行ツ)第一〇一号 上告人 鈴木荘六)

上告人の上告理由

判決は原告が、本件査定不服の審判手続きに参加し、又は、参加を申請してその申請を拒否されたことを認めるに足りる証拠もないから、本件訴訟は、特許法第一七八条第二項が規定する原告適格を有する者によって提起されたものではない。とされました。

上記に対して上告人は平成三年一〇月二四日午前一〇時に本特許代理人若林特許事務所に参上の上オーナーである?若林弁理士殿に審判に対する不服の訴訟を依頼したが(特許庁と争っても一〇〇%勝てないからお止めなさい)と取り合って貰えず、途方に暮れた上告人は午後一時頃朝日新聞東京本社に飛込み訪問を行い、科学部記者斎藤義浩殿に面接頂き、現在の窮状を訴えました、新聞の持つ社会正義にすがろうとしたのです。

然し、当然のことながら正面から取り上げて頂だくことはできませんでしたが、特許庁審査官に直接お会いになってお話しされたらいかがですか、とサディッションをいただきました。上告人は帰途直ぐに朝日新聞社一階ロビイの公衆電話から特許庁の服部平八審判長殿に電話をしましてお会いしてお話したいとお願い致しました、其の結果服部平八審判長はお会い頂けるとのことで翌平成三年一〇月二五日午後二時頃にお会いいただくこととなりました。服部平八審判長殿にアポイントメント通り平成三年一〇月二五日午後二時頃にお会いいただきました。その時に審判長殿の申されましたことは以下の通りです。

(本事件に付いては私は直接担当していないので良くわかりません。)

(本事件に付いては特許範囲をフイッシュミールの範囲に絞れば特許を与えても良いと考え若林特許事務所に打診した、然し回答はNOで有った。本件のように社会的影響の大きい問題に対しては申請通りの広い範囲に特許を与えるわけにはいかない)

上記の状況を上告人から聞いた上告人の会社コトブキテクレックス株式会社は(一〇〇%勝てない裁判に莫大な費用をかけるわけにいかない、よってもし続行を希望するので有れば上告人個人でやって欲しい)となって会社としての行動の打切を宣言致しました。此の次第に付いては別紙念書を御提出します。上記の状態は東京高等裁判所の判決に有ります本件査定不服の審判手続きに参加し、又は、参加を申請してその申請を拒否された、ことに相当する状態のものと考えます。

又特許を受ける権利の譲渡は特許庁に届出なければ有効で無いという御指摘は、法律を専門とする方々の間では常識で有っても、一般人にはピンと来ないのでは無いかと考えます、何れ必要になるとは判っていても上記の混乱の中ではどうしても後回しにならざるを得ず、仮に判っていたとしても此の混乱の中で訴状提出の期限平成三年一〇月三〇日迄には時間的にも不可能で有ったと考えます。

特許庁に届出なければ有効で無いということは訴状提出後に東京高等裁判所第六民事部書記官筒井静穂殿より電話で御聞き致しましたが、その時の上告人の(それでは直ぐに届出を致します)と申したのに対して(もう届出の期限が切れているので先生方が決めて下さるまで待った方が良い)との御意見に従った訳ですが、此れは特許庁にて受付頂けるもので有れば直ぐに届出をしようと考えております。

上告人は上記服部平八審判長殿に平成三年一〇月二五日午後二時頃にお会いいただきました。その時に審判長殿の申されました(本事件に付いては私は直接担当していないので良くわかりません。)というお言葉は特許審判の三名合議制という立場からおかしいと思います。

又(本事件に付いては特許範囲をフイッシュミールの範囲に絞れば特許を与えても良いと考え若林特許事務所に打診した、然し回答はNOで有った。本件のように社会的影響の大きい問題に対しては申請通りの広い範囲に特許を与えるわけにはいかない)という御発言も特許が純粋に技術的:科学的に審査されているのでは無い、ことをものがたり、上告人としては不思議に思います。とかうのはおおよそ特許とするべき物の中で社会的に影響力の無いというものがあろうかと思うからです、特許とは其れを使用する事によって社会的に有用で有るからこそ特許の必然条件と成り、逆に社会的に有用で無い事は特許を受ける権利が無いのではないか、つまり社会的影響の無い特許は存在しえず、社会的影響の大きい有用なもの程良い技術で有り、良い特許と言えるのではないかと考えます。

先の東京高等裁判所に於いての訴訟中には(公告中)で有ったEC特許も今般正式に特許となり、本件の特許は米国 EC オーストラリア 韓国 台湾となりました、然るに発明国の日本が逆に特許の拒絶を受けている状態です。特許は国別の独立した審査を受けて成り立つものとはいえ、どの国も特許で有る以上それなりの審査を受けてのことで有りますので平均的な基準の考え方が有るものと考えます、本件は一旦は日本特許も公告を受けながら特許出願明細書に記載済みの内容の異議申立内容によって拒絶を受けるのは常識的にも極めて不自然な措置と言わざるをえません。

前回東京高等裁判所に御提出の訴状に若林弁理士殿:朝日新聞斎藤記者殿:服部審判長殿との関係を記さなかったのは、此の方々に種々な意味で御迷惑がかかるのではないかと恐れた事と、裁判の成り行きに此れらの事実が重要な意味を持つとは考えられなかったからです。

添付書類

1、コトブキテクレックス株式会社及び上告人鈴木荘六を当事者とする

平成三年一〇月二八日付け念書写し一通。

以上

念書

昭和60年特許出願第293191号、「ダブルカントデカンターによる三相分離装置」の日本国内における特許について下記の通り念書を取り交わすものとする.

1.平成1年審判第14735号を期じて、コトブキテクレックス株式会社は、上記権利を鈴木荘六氏に譲渡すると共に訴訟をしないものとする.

2.コトブキテクレックス株式会社は、鈴木荘六氏が訴訟をする事については拒むことなく、又その費用の一切については免れるものとする.

3.勝訴した場合においてば、その特許権利は鈴木荘六氏に帰属するも、鈴木荘六氏はコトブキテクレックス株式会社がこれの開発に投資した相当額を認めるものとし、その特許権和の行使並びに譲渡する場合は、条件及び投資額の実費回収等についてコトブキテクレックス株式会社と協議、協定の上実行する事とする.

双方が上記確認すると共に、後日の証拠として各一通を保管する.

平成3年10月28日

(譲渡人)

住所: 神奈川県川崎市川崎区藤崎2丁目18番21号

氏名: コトブキテクレックス株式会社

取締役社長 松本実

(譲受人)

住所: 千葉県茂原市新小轡826番地の13

氏名: 鈴木荘六

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例